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「好奇心」 を持ち続ける秘訣

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人間を超えた存在を認識し、おそれ、驚嘆する感性をはぐくみ強めていくことには、どのような意義があるのでしょうか。自然界を探検することは、貴重な子ども時代をすごす愉快で楽しい方法のひとつにすぎないのでしょうか。それとも、もっと深いなにかがあるのでしょうか。

わたしはそのなかに、永続的で意義深いなにかがあると信じています。地球の美しさと神秘さを感じとれる人は、科学者であろうとなかろうと、人生に飽きて疲れたり、孤独にさいなまれることはけっしてないでしょう。たとえ生活のなかで苦しみや心配ごとにであったとしても、かならずや、内面的な満足感と、生きていることへの新たなよろこびへ通ずる小道を見つけだすことができると信じます。

地球の美しさについて深く思いをめぐらせる人は、生命の終わりの瞬間まで、生き生きとした精神力をたもちつづけることができるでしょう。

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レイチェル・カーソン著 上遠恵子訳 『The Sense of Wonder センス・オブ・ワンダー』

 

2021年、ノーベル賞を受賞された真鍋淑郎氏が何度も口にされた言葉は、「好奇心」でした。

「センス・オブ・ワンダー=神秘さや不思議さに目を見はる感性」 が私たちにもたらす最大の恩恵は、「好奇心」だと私は思います。

 

人生100年、ピンピンコロリを目指すためにも、この好奇心が人生における最強のビタミン剤だと私は考えています。そして、好奇心を上手く生み出す秘訣や知恵が、心理学と脳科学にあるのです。私たちが日々の生活に取り入れ活かす科学的知見に裏付けられた心理学、脳科学の実践スキルです。

 

好奇心を持ち続ける秘訣は3つあります。

一つ目は、自分の脳を安定させすぎずに、「どうして?」という疑問が湧く空白を脳の中に作ること。

脳はわからない状態を嫌います。わからない状態があると答えを見つけるまで無意識に答えを探し続ける特質を持っています。この特質を上手く活用し、自分に良い質問を投げかける習慣を持つことが自分の脳を上手く働かせ好奇心につながります。

 

二つ目は、わくわくすること。

人間の本能は生存確率を高めるために、安心・安全を求めます。脳も同様。危険や痛みを避け、快を求める特質があります。そのため、同じできごとでも、それを快につなげ痛みを避ける思考や行動をとることで脳を高いレベルで働かせることができるのです。この特質を意図的に活かして、身の周りの出来事をわくわく感じ、脳を快に結びつけることが、好奇心を抱くことにつながります。

 

三つ目は、『観る力』『聴く力』『感じる力』の感度を上げること。

私たちは、物事を「見ている」つもりでも「観えていない」ことが多く、人の話を「聞いている」つもりでも、「聴けていない」ことが多いのです。それは、人間の認知のしくみに起因しています。人間の認知のしくみは、意識と無意識に深く関係していますが、驚くべきことは人間がどれだけ多くを無意識に依存しているかです。意識的な心で何をしていても、精神活動の大部分を占めているのは無意識で、脳が消費するエネルギーのほとんどは無意識が使っています。結局、人は1日の90%以上を無意識の状態で認知を行ない、判断し行動しているのです。ですから、『観る力』『聴く力』『感じる力』を磨くためには、無意識を上手く働かせることがポイントで、心理学、脳科学の実践スキルが役に立つのです。

 

私が脳科学に興味を持ったのは、富士通株式会社でAI事業に携わる中で、AIと協調する人間自身が、人間の持つ最強の生物学的コンピュータである脳をもっと有効に使うことが必要だという想いを強く持つようになったからでした。VUCAと言われる不確実性の高い現代の社会において、企業が変革していくために必要なことは、社会における自らのありたい姿を描き、実現に向けた問題に気づき課題を発見し、解決に向けて取り組むことです。

 

私は、様々な新規ビジネス開拓に携わってきた経験から、変化を起こしていくためには3つの力が必要だと実感しています。

「問題に気づき課題を発見する力」、「自社の軸を知る力」そして「好奇心を持ち続ける力」です。

 

DX時代にイノベーションを生み出していくためには、他社/他者とのコラボレーションが不可欠です。そして、コラボレーションを成功させるためには、「自社の軸(強み)と他社の強みの掛け合わせ」が必要であり、わくわく感を常に持ち粘り強く取り組んでいくことが成功の秘訣なのです。こういった能力を磨くことこそが、DX時代を支える人材に最も求められることではないでしょうか。

 

kaoru.chujo@sowinsight.com (中条 薫)

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